理研の「健康関数」、データ収集開始へ

 健常人の健康度合いを個別に表す「健康関数」(詳細は『医薬経済』2018年12月15日号参照)について、理研開発チームがいよいよカフェや病院、薬局など街中でのデータ収集に動き始めた。これまでは理研内部か、決まった計測場で得たデータで健康関数をつくっていたため「健康関数」を利用できる参加者が限られていたが、街中で健康計測を行うことにより、利用者のすそ野が広がることになる。


 一方、健康関数作製には使わない健康関連データも計測し、日常生活機能や能力を評価分析する研究会を立ち上げ、大学等との共同研究に使うことなども視野に入れている。街中の計測拠点となる関係者を集めたキックオフミーティングが2月4日に神戸市内で開かれ、理研で「健康関数」を開発する「健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックスプログラム」連携促進コーディネーターの卯津羅泰生氏(写真)は、「来年度中にひとつの計測パッケージをつくっていきたい」との意気込みを示した。

※健康関数の詳細はこちら

①「健常人データ」で研究開発する理研 「健康関数」を完成させ、一大産業へ(医薬経済12/15号)

②調剤薬局も「健康関数」データ収集の場になるか


 同プログラムチームリーダーの水野敬氏は、昨年末に開かれた記者会見で、健康関数については採血をせずとも94%の精度があると示したうえで、「血液検査を行わなくても、高精度に予測し、マッピングが可能」「1時間ぐらいで、皆さんが健康診断をやっているぐらいの時間に収まるような項目でできるとわかった」と述べており、今後は薬局やカフェなど街中で計測を行っていきたいとの方針を打ち出していた。


 卯津羅氏は、「ヘルスケアは大学や研究所のなかだけで研究していても意味がない。街中をフィールドにやっていく必要がある」と強調したうえで、来年度には薬局や病院、カフェなど計測拠点となるメンバーらで「健康くらし力計測評価研究会」を立ち上げ、健常な中年・高齢者を対象にした計測パッケージをつくることを明らかにした。


 健康関数作製に必要なデータ以外にもロコモティブシンドロームチェックや加齢黄斑変性症チェックなども行い、食生活や運動などの生活習慣についてはコミュニケーションを重視したヒアリングを実施することが検討されている。得られたデータは拠点間で共有して蓄積され、健康関数作製以外にも、大学などへのデータ提供や共同研究などが考えられている。また宇津羅氏は、健康に不安のある市民が受診して蓄積データを基にアドバイスなどを受ける「健康長寿外来」も考えられると述べ、医療機関とのコラボレーションに期待感を示した。


 現在では、下記8つの医療機関や事業所などを拠点に計測を行い、運営ノウハウや集積データの共有、事業としての収益化を目指していく予定。とくに大阪・高槻市で高度急性期医療や周産期医療、在宅医療、系列の社会福祉法人で介護を展開している社会医療法人愛仁会について卯津羅氏は、「生まれる前の周産期から小児科、愛仁会さんのエリアで働いている限りは、在宅から亡くなるまで、ずっと愛仁会さんのなかでデータを追いかけさせてもらえる。そこに絡めばひとつのデータセットができるのではと考えている」と期待を寄せた。


・NPO法人こもれび相談室(大阪・池田市)……一般市民向けに行政書士、看護師、介護士などによる生活相談を実施


・社会医療法人甲友会(兵庫・西宮市)……要介護の要因になりやすい骨折、骨粗鬆症防止のための地域ぐるみの取り組みを実施


・社会医療法人愛仁会(大阪・高槻市)……地域の急性期から周産期、在宅医療までをカバー。地域住民向け「ふれあい広場」を開き、ニーズを吸い上げている


・上六薬局(大阪市天王寺区)……調剤薬局以外に、別会社で結婚相談所、介護保険サービス外の支援(庭掃除、介護保険外の住宅改修)などを実施。独居老人への訪問もしながら拾い上げたニーズを専門家につないでいる


・大阪樟蔭女子大くすのき健康栄養センター(大阪・東大阪市)……予防・未病について栄養面からのサポートとしてイベントや特定保健指導などを実施


・認定NPO法人健康ラボステーション(北大阪健康医療都市ほか)……健康関数作製のための「1万人計測」を計測者側として実施中


・こひつじ幼稚園(東京・世田谷区)……石井富美美園長が国内で医療・介護の融合する場づくりを行う多摩大学医療・介護ソリューション研究所フェローも務める。今後の国内への展開を想定しての参加


・同プログラムの市民広場「 iKAfE(あいかふぇ)」(神戸市三宮)


(熊田梨恵)

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